去年の夏、金原瑞人さんに会いに行った。
私の大好きな翻訳家さんである。
金原さんとの出会いは小学5年生まで戻る。
当時の私はほぼ毎週、区の図書館に通う小学生であった。もちろん小学校の図書館でも本を借りていたのだが、区の図書館に比べると蔵書量は少ないしバリエーションに少し飽きていた。
そんな中、短い時間の放課に小学校の図書館でいつも寄らない本棚を見てみた。
窓から日が差すような立地の悪い棚の一番上に、分厚めの表紙もないシンプルな本に惹かれて1ページ目を読んだときに物語にぐっと吸い込まれた。
チャイムが鳴りそうなギリギリの時間だったので急いで借りて教室に戻った。
あの時の光景は今でも鮮明に覚えている。
その後、クラスの仲のいい子にどういう方法で紹介したのかは全く覚えていないのだけど本を紹介して「○○ちゃんが返却するから、次は◇◇ちゃんが借りる番」と人気本になるほどのプチブームを起こした(笑)
その時私が出会った本はクリフ・マクニッシュさんの『レイチェルシリーズ』である。3部作で読みやすく、日本作家さんには見かけられなかったファンタジーの高揚感があり、翻訳してあることから言い回しもであったことのない表現が見受けられて、ワクワクが止まらなかった。
その後は海外ファンタジー系を読むようになり、『ペギ・スー(何年か前に本屋に行ったら文庫本になっていて驚いた)』『ダレン・シャン』『スパイ・ガール』『メディエータ』『ガールズインラブ』『バーティミアス』などを読む。
本を探していく中で、ふと「金原瑞人さん」の訳す本に面白い本が多いということに気づき、そこから「金原さんが訳した本」を探すようになり、金原さんのファンとなったw
そんな時が流れていった中で小学校卒業から10年後、友人と金原さんに会いに大阪まで行ってきた。
一緒に行った友人は小学生の時本を紹介したことで仲良くなり、本を探していく中で共に、「金原さんファン」になった最高の友人である。(今思うと二人とも変わり者の小学生だと思う)
私は死ぬまでに絶対会いたい芸能人的な感じで金原さんが常にランクインしていた。
そこで、金原さんが講演会やイベントなどに出ていらっしゃることを検索して情報を把握し、友人に話を持ち掛けことが起こった次第である。
金原さんの講演会は翻訳家を目指されている方や司書さんが多く、正直話の内容も知識不足で5割も理解できたと言ってもいいのか不安になるレベルで聞き終えた。しかし、本を読んでいるだけでは感じきれない裏側を見れたような高揚感を感じた。
友人とはもしかしたらサインをもらえるのではないかとサイン色紙を意気込んで購入していったのだが、勇気が出ずそこまでの声はかけられなかった。
でも、講演後ほかの方が金原さんに声をかけていたので、勇気を振り絞り小学生からファンであったことを伝えられえた。その時になんて返答してもらったのか全く覚えていないが対面で会話ができただけで私の心は満足し、頭はショート寸前であった。
金原さんは大学でも指導をされているのだが、講演後に友人と大学進学を考える際に「どうして金原さんのいる大学を検討しなかったんだろうね」と少しばかりしゅんとなった。(私は中高生の時に部活の忙しさから本を読む時間を作らなくなったことを後悔していた。)
この話をバーの人に話した際に「翻訳家が好きなんて珍しすぎるし、会いに行くなんてすごいね」と言われ、続けて「好きってことは原本を読んでそこからのニュアンスの表現とかが好きなの?」と投げかけられㇵッとした。
わたしげんぽんよんだことない・・・・・・・・
そこで私は翻訳家としても(きっと凄みを理解しきれていないが)好きであるが、今までの好きの中には「選書家」としても好きが含まれていたのかなと気づいた。
特にオチはないのですが私の好きなことを語りたかったのでもう満足です。
本自体は好きだからもっと読もうと思うのでありました。